2009年6月5日

高齢社会における死者数増加が招く社会福祉・医療体制の危機について

Filed under: 岡田登史彦の思い・感想 — admin @ 11:05 AM

平成21年6月3日厚生労働省は、人口動態統計(概数)で、昨年わが国で生まれた人の数が1,092千人、亡くなった方が1,143千人となり、この結果、わが国の人口は51千人減少したことを報じた。

平成18年12月国立社会保障・人口問題研究所は、わが国の将来の推計人口を発表した。その中で、平成30年には1,384千人の死者数となり、昨年対比241千人も増加し、平成40年には、死者数が1,571千人と同じく428千人も増加すると推計している。

高齢社会における高齢者が故の寿命到来は自然の摂理ではあるが、この死者数の増加は、高齢者の日常生活を支えるというセイフティーネットとしての社会保障体制の充実が、今以上求められるのは当然のこととしながらも、国民が人生の終末を迎え、死に至るまでの一定期間に、お世話になる社会福祉サービスや医療体制の充実が、喫緊の課題であることを示している。

人間が死に直面したとき、生きるための支援とは別の「安穏さや安らぎ」を求めるのではないか。死に至る場所が十分確保されていないとき、その人は不安を持つのではないか。

現在、国家財政は危機的状況にあり、高齢社会のための社会福祉施設や医療機関の充実・増設には十分対応できていない。しかし、このような死者数の増加に積極的に対応することこそが、将来の国家を支える人々に自信や勇気・やりがいをもたらすのではないかと思われる。ついてはこの死者数の増加に積極的に対応する支援体制の構築が望まれる。

以上