2008年1月4日

「公の施設」の巨額な運営損失ついて

Filed under: 岡田登史彦の政策提言の背景・考え — admin @ 2:20 AM

―― 民間委託による新しい指定管理者の必要性 ***

 表1は、平成18年度決算の「公の施設の管理運営等の状況について」の報告を、わたしが損失額1億円以上の先を選び、その大きい方から順に並べ替えたものです。

 この表は、公の施設に対して管理運営等コスト(B)約92億円をかけて運営し、使用料(A)約30億円の収入を得たものの、その結果として62億円の損失を生み出しているという事実を伝えています。
 本来これだけの赤字であれば施設の運営を廃止すべきという考えが出てもおかしくはありませんが、単なる損失金額だけでは、存廃を決められません。単なるコストだけではなく、どれだけの人々が、どのような状況で使用したか知った上でなければ、これらの施設の存続・廃止の是非が問えません。
 
 それだけにここでは施設の存続・廃止の論議は、横において、この施設を運営するのにほんとうに約92億円もかかるのかという観点に絞って検討してみたいと思います。

 たぶんそれぞれの指定管理者の選定に対しては、それなりに公募されて決められていると思いますが、本当に内容をチェックして選定されたかどうかは、部内者でないと判りません。仄聞するところによると、多くの指定管理者には京都市役所の幹部職員が天下っておられると聞いています。本来なら、このような指定管理者を決定するときは、非対象団体には一人も市役所OBがおられない先にすべきと思います。それが公正さを担保出来るものと思っています。それゆえ、つまりそのOBが誰れ一人としておられなければ、市民のその運営コストにていて、たとえ大きく損失額が増えても納得されるのではないかと思われます。しかし、現実は多くの市役所OBの方がおられる先を指定しているのですから、国家レベルでの天下り先と官僚が癒着している構造と同じように市民が見てしまい不信感が増加するというものです。公正を期すためには、指定管理先の指定の条件にOBを排除する条項を入れるべきと思います。そのようになれば、本当に世間のレベルから見てリーズナブルなコストで運用できるようになるとおもいます。

今一度「公の施設の管理運営等の状況」について抜本的に明らかにすべきだと思います。つまり、この委託運営先がどのような先なのか、OBがおられるのか、またコスト計算の根拠は何なのかをはっきりと確認します。

 多分、正当な入札を実施したら92億円のコストは20~30%削減できると確信しています。つまり18~32億円検討の経費削減にはなると思います。

表1:平成18年度決算の「公の施設の管理運営等の状況について」

  平成18年度決算(単位:百万円)
使用料
収入額(A)
管理運営等
コスト(B)
損失額 受益者負担割合
(A/B,%)
地域文化会館
(アバンティホール含む)
172.8 809.9 -637.1 21.3
京都コンサートホール 173.3 665.4 -492.1 26.0
京都市青少年科学センター 31.9 478.4 -446.5 6.7
京都市動物園 143.4 581.8 -438.4 24.6
青少年活動センター 5.0 370.9 -365.9 1.3
京都市勧業館 566.0 922.8 -356.8 61.3
京都市生涯学習センター 28.3 355.8 -327.5 8.0
京都市野外活動施設花背山の家 15.9 319.7 -303.8 5.0
京都市国際交流会館 35.3 320.3 -285.0 11.0
京都市健康増進センター 112.6 377.8 -265.2 29.8
京都市男女共同参画推進センター 55.8 306.2 -250.4 18.2
有料運動場 251.7 467.2 -215.5 53.9
京都市洛西ふれあいの里
保養研修センター
44.2 258.9 -214.7 17.1
総合体育館(京都市体育館、
武道センター、横大路体育館)
67.5 280.5 -213.0 24.1
京都市美術館 58.9 260.7 -201.8 22.6
京都市大学のまち交流センター 84.7 273.4 -188.7 31.0
地域体育館
(市民スポーツ会館含む)
44.1 227.9 -183.8 19.4
西京極運動公園施設 118.8 298.2 -179.4 39.8
京都会館 186.9 360.8 -173.9 51.8
京都市生涯学習センター山科 17.8 139.5 -121.7 12.8
20件小計 2214.9 8076.1 -5861.2 27.4
その他11件 742.7 1115.8 -373.1 66.6
合計(31件) 2957.6 9191.9 -6234.3 32.2

[出典]
京都市理財局資料:平成18年度決算「公の施設の管理運営等の状況について」より
http://www.city.kyoto.jp/rizai/shukei/yosan/18/zyuekisuii18.pdf


コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

この投稿へのコメントの RSS フィード TrackBack URI

コメントをどうぞ