政府は、国家の行く末を示す国家像を、国民に示す必要がある
ベルリンの壁崩壊20周年を記念して11月9日に放映されたNHKの特別番組は、東西ドイツ統一後東西格差が縮小されているにもかかわらず、壁があった以前に戻りたいとする旧東ドイツの人々の増加が報告されていた。そしてその番組の中で、今何を望むかとの質問に「心配をなくしてほしい」との意外な答えがあった。
この旧東ドイツの人たちの思いは、日本で、バブル経済崩壊後自殺者数が11年連続3万人を超え、「老後に対する不安」や、「終身雇用制度崩壊による失業の恐れ」が増大しているわが国民の心情と同類と見て差し支えないのではないか。
わが国政府は、わが国民の持つ不安や懸念を解消する必要があるが、その解消方法を歴史に学ぶとするなら、英国が、第2次世界大戦戦時下の1942年に、戦後の社会保障制度の確立にむけて、「ゆりかごから墓場」までの基本となった「ベバリッジ報告」の発表が参考になろう。これは「5つの巨悪(窮乏・疾病・無知・不潔・怠惰)」に立ち向かう国家の意思を示したのである。この発表の結果、国民は安心して戦時下の生活に耐え、戦後の復興に向かったのである。
リーマンショック後の世界経済が停滞している中で、民主党政権は、国家の強い意志として「新しい国家像」を示すべきである。特に国家財政再建策を含めた、今後の社会保障制度や社会福祉の在り方を示したグランドデザインの発表が、国民と政府が一体となった形で国家発展に進みうる唯一の方策ではなかろうか。
以上
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